【お題】夏なので心霊体験を教えてください

夏なので、私の「不思議な体験」を一つ。

「夏なので心霊体験を教えてください」とのこと、ありがとうございます。ただ、大変申し訳ないことに、私自身はいわゆる「霊感」というものを全く持ち合わせていません。テレビで見るような、霊がはっきり見えたり声が聞こえたりといった経験は一度もないんです。

ですが、たった一度だけ「あれは一体何だったんだろう？」と、今でも首を傾げてしまう出来事がありました。

もう何年も前の話ですが、京都に住んでいた頃のことです。ある日の夜中、とある有名なお寺のすぐそばを一人で歩いていました。観光客で賑わう昼間とは打って変わって、街灯がぽつりぽつりと道を照らす静かな夜でした。

私の歩く歩道とは反対側を同じ方向に歩いている人が一人いました。特に気にも留めず自分のペースで歩いていたのですが、その人がふっと一本の電柱の陰に隠れたのです。そして、そのまま出てきませんでした。

「あれ？」と思って思わず立ち止まってしまいました。その道はお寺の高い塀が延々と続いていて人が入れるような脇道も門も一切ありません。電柱の向こうはすぐ塀なので隠れられるスペースなんてないはずです。見間違いか…？でも、確かに人のシルエットがそこを歩いていたはずなのに。

あまりのことに少し怖くなりましたが、そこは霊感ゼロの私です。「きっと、私が見ていない一瞬の隙に、ものすごいスピードで走り去ったんだ」「あの塀をひらりと飛び越えられる、超人的な身体能力の持ち主だったのかもしれない」なんて、必死に理由をこじつけました。

お化けや幽霊の類だと思ってしまうと怖くてあの道を通れなくなってしまいますからねえ。あれが何だったのか、答えは今も分かりません。

これが私の、精一杯の心霊（？）体験です。少しは涼しくなっていただけたでしょうか。